岩崎建築研究室・日誌II

京都・下鴨の設計事務所。茶室のリフォームや新築をメインに、和風住宅や和菓子舗、日本料理店、和風旅館、古民家改修などの設計監理を行なっています。

総本家更科

芦屋の現場監理の帰りに少し足を延ばして新世界へ。

通天閣のすぐ足元にある蕎麦屋さん、総本家更科さんは、1907年創業の老舗。外部の木部は綺麗に洗われていて清潔感があり、建物が大事に使われている様子が伺える。

軒瓦は中付一文字軒瓦。なかなかのこだわり。

板塀部分には舟板が使われている。

楚者(そば)のガラス看板。こちらは建築当初のものではないと思うので、建築した人だけでなく、受け継ぐ人も建築にこだわりのある人のようである。

店内の腰壁はなんと本木賊!直方体のシンプルな広々した店内の腰が全て本木賊!お店の方のお話では、建築当時、職人さんの気分が乗らないと1日3枚という日もあったとか。昔の職人さんだからめちゃくちゃ手が早いというわけでもなかったようである。一体何日かかったのだろうか。そしてこれだけ時間が経ってもビクともしていない。本物の仕事。

Rのついた腰壁は煤竹の網代。根曲りの丸太を使って。

天井は格天井。シンプルな意匠ながら、こだわりの効いた店内。令和のこの時代にも、こんなお店を設計してみたいものだ。

鴨なんばが食べたかったのですが、遅めの時間に行ったため売り切れ、残念。天ぷらそばをいただきましたが、更科の真っ白な蕎麦は、香り豊かでつるっとした喉越しで美味。他のメニューも色々食べてみたい。

 


そういえば、東京神田のまつやも、腰壁が竹で、天井が格天井だったような。建築を確認に、また行ってみよう。