岩崎建築研究室・日誌II

京都・下鴨の設計事務所。茶室のリフォームや新築をメインに、和風住宅や和菓子舗、日本料理店、和風旅館、古民家改修などの設計監理を行なっています。

絞り茶巾

十二月二回目のお茶のお稽古。お軸は文浄老師の歳月不待人。年を取るごとに一年が短くなってゆく。お花は曙椿にカマツカの照り葉。カマツカバラ科カマツカ属の落葉樹。4~5月にリンゴに似た五弁の白い小さな花が咲くき、花の後には直径1センチ弱の楕円形の実ができ、10~11月には赤く熟す。ヒヨドリやレンジャク、アトリなどが啄む。材が緻密で非常に堅く、鎌の柄に使われたことからその名がある。ちなみに「一尺二寸五分」と書いて「かまつか」と呼ぶ苗字があるそうです。源平合戦で敗れた平家の落ち武者である「鎌塚(かまつか)」という侍が、苗字がわかると狙われることから、鎌の柄の長さが一尺二寸五分(37.8cm)だったことから、一尺二寸五分と書くようになったとか。花入は信楽の青木克之。

お稽古は筒茶碗を使って絞り茶巾。茶巾を絞るときは右手が上、左手が下。親指が中になるように絞ります。茶碗は十分に温めて、茶巾は茶碗の底に横一文字に、先は左側(ちなみに夏の洗い茶巾は、先が右側)茶碗の中の茶巾を取る時は、中指と人差し指で。

蝋梅と屋根の上の獅子。

お稽古の後、建築主さんとの待ち合わせまでのわずかな時間、細見美術館へ。お目当ては七宝の引手や釘隠。「七宝夕顔釘隠」幅が九寸ほどあり、大きい。精緻によくできたもので、食い入るように拝見。時代は桃山とありましたが、さもありなん。これだけの釘隠が使われたのはどんな建物だったのだろうかと想像が膨らみます。銅製、象嵌七宝の桐文引手や楓引手も素敵。展示替えで後期には、また別の引手や釘隠が出るようなので、また行こう。